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「心もよう」
ベッツィ&クリスっていう女性のデュオが当時いて、この「心もよう」は彼女たちのために書いたんですよ。こっちが歌って欲しくて書いたのか、、「井上君、曲を書かないか?」だったのかは、記憶にないんですけど。最初はそんなつもりで、当時「遠くへ行きたい」とかって旅が流行ってたから、“♪遠くの町のぉ〜 駅に降りてぇ〜 そばを見るとぉ〜 ウウ〜 ウウ〜 線路の脇にぃ〜 草があるぅ〜 草の匂いでぇ〜 旅を知るぅ〜”とか、なんかそんな詞をディレクターに持っていったら、「ぜんぜん駄目!」っていうことになって。「あっらぁ〜」とかって書き直した時には、もうベッツィ&クリスのためじゃなく、自分の次のアルバム用の詞になってた。それはもう、九州にいた頃に付き合っていた女の人のことを歌ったもので、これがもし想像上の作品だったらホントは大したもんなんだけど、まあ、ありきたりなよくある話なんですよね。出だしの“♪さみしさのつれづれに”とかっていうのは、ちょっと当時、古めかしい言い方に憧れてたんですね。「さみしさのつれづれに、なんて、今時、使わないよねぇ」とか半分笑いながらね。そんなニュアンスでずいぶん歌ってたんですよ。
「はじまり」
この「氷の世界」って、トータル・アルバムじゃないんだけど、単純に曲がトントンとあるより、一曲目と二曲目がつながってる、とかって、そんなことやりはじめたやつで、一曲目の「あかずの踏切り」から「帰れない二人」にどう持っていくかって考えて、まず短い曲を「帰れない二人」のあたまに置いて転調して「帰れない二人」が始まるとカッコいいんじゃないかって話で、それ用に「はじまり」って曲作ったりね。
「帰れない二人」
忌野清志郎と一緒に作ったんですけど、彼が遊びに来た時に、「ちょっと短時間で一緒に曲作ろうよ」みたいなことで。それで今聴いて「僕だったらこんなの作れない」っていうのは彼のところなんですね。頭のメロディーとかね。コードの展開とか、すごくおもしろいところ、あるから。
「待ちぼうけ」
「待ちぼうけ」もまあ、忌野清志郎と一緒に作ったやつで、「帰れない二人」ができ上がって、「ちょっと一曲じゃね。もう一曲、行こうよ」っていうような、付け足しみたいな、オマケみたいな曲でした。
「氷の世界」
聴いてる人が“普通、常識的なことではよく分からない”ってことが、もっと濃厚になってますね。“♪窓の外ではリンゴ売り〜ぃ”とかって。曲のキッカケはね、スティービー・ワンダーの「迷信」の、イントロのフレーズとか、あれいいなぁってギターであれっぽくやったの覚えてますね。それでこの曲ができたんですね。
「白い一日」
小椋佳って人から詞が来て、でもこれ、レコーディングの時。まあ相変わらずなんだけど、すごくおかしくてね。確か曲がちゃんとできないままマイクの前で歌ったの覚えてます。大体のところしかメロディ作ってなくて、マイクの前でなんとかメロディになるんじゃないか、細かいところは、その場でどんどん書くってヤツですね。
「桜三月散歩道」
長谷邦夫さんていう、赤塚不二夫さんと一緒に仕事してた人が詞を持ってきて、赤塚さんとその人が雑誌作るっていうんで、その創刊号にソノシート入れるっていうんで、曲作って歌ったものです。雑誌の名前は忘れたんですけど。
「Fun」
コンサートにお客さん、けっこう来てて、いっぱしのスター気取りだったっていうか、これは気持ちを説明するのが難しいんですけど、まあ僕も初めてのことですっかり舞い上がって、つまり“スターから見たファン”ということで作った曲。だから随分、生意気な詞なんですよ。男女間の歌にも聴こえるかもしれないけれど、思い上がったスターがファンに対して歌っているって聴いてもらうとおかしいかもしれない。
「小春おばさん」
みどりおばさんっていう実際のおばさんがいたんですよ。おふくろの郷里の九州に僕ら家族は住んでいて、おふくろの親戚はよく家に来たけど、そのおばさんは父親方の親戚なんで、四国に居たりして何となく疎遠なんです。だからちょっと愛の手を、みたいなことがあったのかもしれない。この曲は“Aメロ”っていうんですか、一番なんか今でもよくできてるなぁって思うんですけど、後半で“♪こぉはっるううう〜っ”て声を張り上げるところは、今だったらああは作らないんじゃないかっていうのがあるんですけどね。当時はともかく、声張り上げるとみんなビックリするんじゃないかなぁ、なんて思ってたから。